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一次情報とは?自社で無料で作る5つのステップと3事例

一次情報とは?自社で無料で作る5つのステップと3事例

一次情報とは、自分が直接体験・調査して得た、原典にあたる情報です。一次情報とは何かは分かっても、「自社には無い」と感じる方は多いはずです。

筆者は、一次情報は自社で無料で作れると考えています。実際に株式会社LAYUPでは、社内の棚卸しと手元の計測だけで作った一次情報が、GoogleのAIによる概要の引用元になりました。作り方は次の5つです。

  • ステップ①手元の情報を「誰が・いつ・どうやって得たか」で仕分ける
  • ステップ②社内の一次情報の候補を棚卸しして在庫表にする
  • ステップ③何を数えるか決めて、手元の道具で数える
  • ステップ④数字の中身・母数・計測漏れを疑う
  • ステップ⑤取得期間・方法・出典を添えて書き、月1回見直す

この記事では、当社の実例3つと5つのステップ、一次情報の意味と二次・三次情報との違い、よくある質問まで解説します。

目次

【実例3つ】一次情報は自社で無料で作れる|当社が確かめた記録

一次情報とは、ある出来事や事実について、当事者が直接の経験・観察・計測・調査によって最初に得た情報、またはその当事者が最初に公開した原典のことです。筆者(株式会社LAYUP代表・光田)は、言葉の説明より先に、自社で一次情報を作って確かめた記録からお見せします。

結論から言うと、一次情報は無料の道具と社内の記録で作れますが、数字の中身まで数えないと、自分の一次情報で自分自身が誤解します。

正直に書くと、本記事の旧版(2025年4月公開)に載せていた事例3つは、他社でよくある形を示した一般的な例で、当社が自分で測った数字ではありませんでした。一次情報の記事に一次情報が無い状態を、今回の書き直しで自社の記録に置き換えています。

◆株式会社LAYUPが自社で作った一次情報3つ(2026年9月時点)

実例何を一次情報にしたか取得方法・費用
GoogleのAIによる概要に引用された質問14問と、計測196語のうち自社が引用元だった1語検索結果の抽出・無料
社内の一次情報の在庫表(研修実績・自社の稼働データ・支援実績・制度・まだ無いもの)社内資料の棚卸し・無料
問い合わせフォームの到達194→入力開始81→送信完了51→本物の相談0GA4と受信箱・無料

3つとも、有料の調査や外注は使っていません。順に、何を・いつ・どうやって得たかを書きます。

実例①AI概要に引用された14問は一次情報つきの定義記事

2026年9月6日に、当社サイトがGoogleのAIによる概要(検索結果の上部にAIが出す要約)の引用元になっている質問を抽出すると、14問ありました。「一次情報とは」(AI検索の月間推定2,900回・6番目の引用元)、「監修 意味」(880回・4番目)、「成功報酬とは」(720回・3番目)など、用語の定義を問う質問が大半です。

一方で、同じ日に計測した196語のうち188語でAIによる概要が表示されていましたが、当社が引用元だったのは1語だけでした。順位が高い記事でも、引用されない記事のほうが圧倒的に多い状態です。

株式会社LAYUPのサイトで2026年9月6日に抽出した、AIによる概要に引用された14問と、計測196語のうち引用元だった1語の図解

筆者が作成(2026年9月6日抽出。方法と内訳はLLMOの記事に掲載)

引用された記事に共通していたのは、見出しの直後に「◯◯とは、〜です」という自己完結した定義文があり、条件つきの数字や比較表で裏づけている点でした。

本記事の旧版も引用元の1つでしたが、事例は一般的な例で、当社の数字は入っていませんでした。引用は固定ではなく、後日の確認で外れることもあります。だからこそ今回は、定義文の直後に当社の実測を置く形へ書き直しました。抽出の方法と14問の内訳はLLMOの記事にまとめています。

実例②社内の一次情報を棚卸しして「在庫表」にした

2026年9月6日、筆者は社内に散らばっていた実績・数値・記録を1枚の表に集めました。列は「内容」「数値・成果」「公開可否」「出典」の4つで、行にはA研修や支援の実績、B自社のAI活用の稼働データ、Cサイト公開済みの支援実績、D制度の実務経験、Eまだ無い一次情報、とIDを振っています。

たとえばB群には、Claude Codeに登録した業務の手順書(スキル)34本、無人で毎日動く定期実行10本(2026年9月22日時点)、AIの利用料が月額約3万円、議事録の自動作成が毎日3回、補助金の自動収集が初回142件、といった数字が並びます。

株式会社LAYUPの一次情報の在庫表の抜粋。スキル34本、定期実行10本、月額約3万円などの行と、表の作り方

筆者が作成(在庫表は2026年9月6日作成・数値は9月22日時点)

記事を書く前に必ずこの表と照合し、表に無いことは根拠にしないと決めた瞬間から、「自社には一次情報が無い」という思い込みが消えました。

工夫した点は2つあります。1つは「公開可否」の列で、クライアント名や受講者数のように先方の許可が要る行は「要確認」と書き、確認が取れるまで記事に使いません。もう1つは「Eまだ無い一次情報」の欄で、研修受講後の削減時間のように、まだ測っていないことを先に書いておくと、記事で断定してはいけない範囲がはっきりするからです。

印刷会社であれば、見積依頼の件数、入稿データの不備の件数、再印刷の回数、納期遅れの記録、Webと電話の問い合わせ件数の比などが在庫表の候補になります。社長への説明資料は、この表から選んで書けば根拠を聞かれても即答できます。

実例③「問い合わせ51件」を数えたら本物は0件だった

在庫表の中で最も反省が多かったのが、自社サイトの問い合わせフォームの記録です。2026年8月5日〜9月22日の49日間にGA4(Googleが無料で提供するアクセス解析ツール)で数えると、お問い合わせページ到達194セッション(PC183・スマホ11)、入力開始81セッション、送信完了51セッションでした。

セッションとは「1回の訪問」の単位です。数字だけ見れば「49日で51件の問い合わせ」に読めます。しかし受信箱を1件ずつ確かめると、実際に相談・商談につながった問い合わせは0件で、ほぼ全部が営業目的の送信か迷惑送信でした。

株式会社LAYUPの問い合わせフォームの実測。到達194セッション、入力開始81、送信完了51、本物の相談0(2026年8月5日〜9月22日・GA4)

筆者が作成(自社GA4の実測・2026年8月5日〜9月22日)

「送信完了51件」という一次情報は正確でしたが、「問い合わせが来ている」という解釈は、中身を数えるまで間違っていました。

恥ずかしい失敗談もあります。筆者は2026年6月30日に自社サイトをリニューアルした際、フォームの通知先の確認を後回しにし、2026年9月6日になってテスト送信で届き方を確かめました。完了数だけを見ていれば「来ている、届いている」と思い込んだままだったはずです。

もう1つ、スマホからの到達11セッションに対して入力開始の計測が0でした。スマホで入力しづらいのか、計測の設定漏れなのか、現時点で筆者にも断定できません。断定できないことは断定しないまま書くのが、一次情報の正しい扱いだと考えています。

自社の一次情報を無料で作る5つのステップ

実例で見たとおり、一次情報は「作る」より「確かめる」ほうが難しいと筆者は感じています。ここでは、社内の情報を仕分けるところから、数字を添えて発信するところまでを、読者の会社でそのまま使える5つのステップに整理しました。

5つの中で最も重要なのは、数えた後に自分の数字を疑うステップ④です。

◆自社の一次情報を無料で作る5つのステップ

ステップやること使う道具・費用
①仕分ける手元の情報を一次・二次・孫引きに分ける紙とペン・無料
②棚卸しする社内の一次情報の候補を書き出し、在庫表にする受信箱・受付簿・作業記録・無料
③数える何を数えるか決めて、手元の道具で数えるGA4・受付簿・作業記録・無料
④疑う中身・母数・取得方法・計測漏れを確かめる受信メール・元データ・無料
⑤書いて見直す期間・方法・母数・出典を添えて書き、月1回見直す文書と表・月1回
自社の一次情報を無料で作る5つのステップの図解。仕分ける、棚卸しして在庫表にする、数える、疑う、書いて見直す

筆者が作成

想定しているのは、総務や営業企画を兼務し、社長から「サイトや資料の改善案を出せ」と言われた非エンジニアの担当者です。5つとも外注や有料ツールを前提にしておらず、①②は机上で進められ、③以降も設定は1回で済みます。

ステップ①3つの問いで一次・二次・孫引きに仕分ける

最初にやるのは、手元にある情報を3つの問いで仕分ける作業です。「誰が最初に得たか」「いつ得たか」「どうやって得たか」の3つに自分が答えられれば一次情報、答えの主語が他人で出典をたどれるなら二次情報、出典をたどれなければ孫引きと考えます。

孫引きとは、二次情報に載っていた数字や主張を、原典を自分で確かめないまま引用する状態を指す言葉です。二次情報が悪いという話ではなく、根拠として使うときに原典まで戻れるかどうかが問題になります。

仕分けの基準は情報の正しさではなく、原典からの距離です。

たとえば「AIに引用されるサイトの多くは独自データを持っていると言われています」という記述は、誰が(不明)・いつ(記載なし)・どうやって(不明)となり、孫引きに分類されます。同じ「独自データ」の話でも、「2026年9月6日に当社が抽出した14問」なら、3つの問いに全部答えられます。

「先月の見積依頼は12件で、うち3件が成約した」という営業日報の数字も、自社が・先月・受注記録から得た一次情報です。まずは社長に説明する材料を並べ、どれが一次でどれが孫引きかに印を付けてください。

ステップ②5つの引き出しから棚卸しして在庫表にする

次に、社内にある一次情報の候補を5つの引き出しから棚卸しします。①お客様との実績(受注・支援・研修の記録)、②自社の稼働データ(作業時間・件数・費用)、③問い合わせや受付の中身(メール・電話メモ・営業日報)、④アクセス解析(GA4・Search Console)、⑤自分の目で確かめた事実、の5つです。

書き出したら、実例②と同じく「内容」「数値・成果」「公開可否」「出典」の4列の表にまとめてください。費用はかからず、その日のうちに自社だけの一次情報の一覧が手に入ります。

⑤の「自分の目で確かめた事実」は見落とされやすい一方で、費用ゼロで今日から得られる一番身近な一次情報です。

自社サイトを開いて問い合わせフォームの項目数を数える、倉庫に行って在庫の置き方を写真に撮る、といった行為も、日付と条件を添えれば一次情報になります。筆者も2026年9月23日に自社フォームのHTMLを開き、入力項目が19個あることを数えました。

在庫表には「まだ無いもの」の欄も作ってください。測っていないことを先に書いておくと、記事や資料で断定してはいけない範囲がはっきりし、次に何を測るべきかも決まります。

ステップ③数える対象を決めて、手元の道具で数える

計測の前に、何を数えるかを決めます。実例③なら「お問い合わせページへの到達→入力開始→送信完了→本物の問い合わせ」の4段階です。先に道具を触ると、数字は出ても何を語っているのか分からなくなるからです。

最後の「本物」は、自社サービスへの相談・見積・質問で、こちらの返信を求めているものと定義してください。営業と迷惑送信は含めません。

到達から完了までは無料ツールで自動的に数えられますが、「本物」の数だけは人が受信箱を仕分けて数えます。

GA4では、拡張計測機能の「フォームの操作」をオンにすると、入力開始(form_start)と送信(form_submit)が追加設定なしで自動収集されるとGA4ヘルプ「拡張計測機能イベント」(2026年9月23日閲覧)に説明があります。

段階を並べて見るにはGA4ヘルプ「ファネルデータ探索」の手順を参照してください。

Webの数字に限る必要はありません。見積依頼の受付簿、納期の記録、電話の件数など、すでに社内で記録しているものを「月ごとに数える」だけでも一次情報になります。大事なのは、数える対象と定義を先に決め、同じ条件で数え続ける点です。

ステップ④自分の数字を疑う(中身・母数・取得方法・計測漏れ)

数字が出たら、信じる前に4つの点で疑います。一次情報は「自分で得た」というだけで正しさが保証されるわけではなく、むしろ取り方の癖が自分に見えにくい情報だからです。

  • 中身を疑います。実例③のとおり、完了51件は分類すると本物の相談が0件でした。
  • 母数を疑います。到達194セッションは49日間の数字で、1件の差で割合が約0.5ポイント動きます。
  • 取得方法を疑ってください。期間や定義の違う数字を並べて比べてはいけません。
  • 計測漏れを疑います。筆者のデータでは、スマホの到達11セッションに対して入力開始の計測が0でした。

月間の数字が数十〜数百件の規模では、2案を同時に出して差を比べるABテストは成立せず、一括で直して前後を比べるほうが現実的です。

数字の弱点を自分で先に書いておくと、社長や取引先からの「本当か」という問いに、その場で答えられます。分かったことと分からないことを分けて書く姿勢が、一次情報の信頼を支えます。

ステップ⑤期間・方法・母数・出典を添えて書き、月1回見直す

一次情報を文章にするときは、数字に「取得期間・取得方法・母数」の3点を必ず添えます。「完了率26%」とだけ書くのと、「2026年8月5日〜9月22日の49日間にGA4で計測した到達194セッションに対する完了51セッションの割合(26%)」と書くのとでは、読み手が検証できるかどうかが違うからです。

外部の資料を引くときは、機関名・資料名・URL・公開日・自分が確認した日を書きます。たとえば「総務省『令和7年版 情報通信白書』・2024年度調査・筆者が2026年9月23日に確認」のように、誰の・いつの・どの調査かが一目で分かる書き方です。

数字は条件とセットで初めて一次情報として通用し、条件を外した瞬間に孫引きの元になります。

筆者は毎月、在庫表の数字と、受信メールの分類(本物・営業・迷惑)を同じ表に追記しています。月1回に決めた理由は、月間の件数が100件前後の規模だと、週ごとに見ても数件の増減しか出ず、傾向が読めないからです。

書いた文章には「最終確認日」を入れ、社内の数字や公的統計の改訂に合わせて更新します。「他社の記事ではこう言われている」ではなく「当社の数字ではこうなっている」と言えるようになるのが、このステップの到達点です。

一次情報とは当事者が最初に得た原典、二次・三次は原典から遠い

ここからは、一次情報という言葉そのものを整理します。一次情報とは、ある出来事や事実について、当事者が直接の経験・観察・測定・調査によって最初に得た情報、またはその当事者が最初に公開した原典のことです。

「一次」という数字は原典からの距離を表します。一次情報を第三者がまとめ直すと二次情報になり、二次情報をさらに整理して事典や教科書にしたものが三次情報です。

「何次情報か」は原典からの距離を表す区分であって、一次だから正しい、三次だから間違いという保証ではありません。

この章では、読み方と英語、比較表、例題、メリット・デメリット、見分け方、集め方、そしてSEO・AI検索で重要になった理由の順に説明します。用語の定義だけ知りたい方は次の項目を、実務で使いたい方は「集め方」の項目から読んでください。

一次情報の読み方は「いちじじょうほう」|英語と身近な例

一次情報の読み方は「いちじじょうほう」です。英語ではprimary information、原典や一次資料を指すときはprimary source、直接得た情報という意味ではfirst-hand informationと表現されます。

言い換えとしては「一次資料」「原典」「生の情報」「当事者の情報」が一般的です。筆者は研修の場では「実測値」「自社データ」「現場の数字」と言い換えており、非エンジニアの担当者にはこの方が伝わります。

身近な例で言えば、自分で食べに行って「味噌汁が濃かった」と感じたのが一次情報で、同僚から聞いた「あの店は味が濃いらしい」が二次情報です。

同じ「味が濃い」という結論でも、前者には「いつ・何を・いくらで」を付けられ、後者には付けられません。その同僚も別の人から聞いていたなら、孫引きの状態になります。

会社に置き換えると、業界誌に載った「印刷業の平均問い合わせ数」は二次情報で、自社の先月の見積依頼件数や、自分でHTMLを開いて確かめたフォームの項目数は一次情報です。社長への説明で説得力を持つのは後者の方になります。

一次・二次・三次情報の違いは原典からの距離【比較表】

三者の違いを表にまとめます。見比べる軸は「誰が得たか」「主な例」「強み」「注意点」の4つです。

◆一次情報・二次情報・三次情報の違い

区分誰が得たか主な例強み注意点
一次情報当事者が直接、体験・観察・調査・計測した(自分自身が原典)自社のアクセス解析、受注記録、公的統計の原資料、原著論文他に無い、条件を示せる、検証の起点になる母数が小さい、偏る、取得に手間がかかる
二次情報第三者が一次情報を整理・要約・解説した(出典があれば原典に戻れる)新聞の解説記事、業界レポート、書籍、調査結果を引用した記事全体像を早くつかめる、専門家の解釈が付く要約で条件が落ちる、解釈が混ざる
三次情報二次情報をさらに整理・要約した(参考文献をたどれば戻れる)事典、教科書、用語集入門に向く、定説を確認できる更新が遅い、原典が見えにくい
一次情報・二次情報・三次情報の違いを原典からの距離で示した図解

筆者が作成

「二次情報で全体像をつかみ、一次情報で確信を持つ」という順番で使うと、それぞれの弱みを補い合えます。

筆者の実例に当てはめると、一次情報の定義や集め方は解説記事や事典(二次・三次情報)で学び、自社の在庫表と計測(一次情報)で「自社では何が言えるか」を確かめました。二次情報だけで書いていたら、旧版と同じ一般的な事例の記事のままだったはずです。

なお、どの階層でも出典が示されていない「〜と言われている」という記述は、原典に戻れない孫引きとして扱います。戻れない数字は、どれだけ有名でも判断材料から外してください。

例題:新聞は二次、統計・論文は一次、事典・教科書は三次

言葉の定義だけでは迷うため、よく話題になる5つの資料を例題として仕分けます。答えは「その資料の中のどの部分を見ているか」で変わるため、資料名だけでは決まらない点も含めて見てください。

◆例題:この情報は何次情報か

資料基本の分類理由と例外
新聞記事二次情報発表や統計を伝える記事は二次情報。記者が現場で取材した独自報道や本人の証言部分は一次情報に近い
公的統計(国勢調査・経済センサスなど)一次情報調査主体が集めて公表した統計表そのものが原典。報道や解説記事を通した数字は二次情報
Wikipedia三次情報百科事典であり、図書館情報学では三次資料に分類される。脚注の出典をたどれば一次・二次情報に到達できる
教科書三次情報確立した知見を整理した資料で、研究の原典ではない。参考文献に原典が載っている
学術論文一次情報著者本人の実験・調査を報告する原著論文は一次情報。複数の論文をまとめた総説(レビュー論文)は二次情報

Wikipediaも教科書も「間違っている」わけではなく、「原典への入口」として使えば、一次情報にたどり着く最短経路になります。

Wikipedia自身も、方針文書の「Wikipedia:信頼できる情報源」で、記事そのものを出典に使わないよう求めています。

筆者も調べ物の入口にはWikipediaを使いますが、記事に書くときは脚注の先にある原典を開いてから引用するようにしました。

社長への資料で公的統計を使うなら、解説記事の数字を写さず、政府統計の総合窓口e-Statや各省庁のサイトで統計表そのものを開き、表の番号と公開日を控えてください。ひと手間かかりますが、「どこの数字か」と聞かれたときに即答できます。

メリットは独自性、デメリットは母数|二次で概観、一次で確信

一次情報のメリットは4つあります。他社と同じにならない独自性、条件を示して検証できる信頼性、判断の根拠になる具体性、そして検索エンジンやAIに引用されやすい点です。当社の在庫表や実測は、他社が同じものを持てない内容です。

デメリットも同じくらい明確で、取得に手間と時間がかかり、母数が小さく、自社の条件に偏り、業界全体の中での位置づけが分かりません。到達194セッションという本記事の数字も、49日間・1社の結果にすぎません。

だからこそ筆者は、「二次情報で全体像、一次情報で確信」という使い分けを勧めています。

  • 二次情報で業界の相場や一般的な傾向を把握し、自社がどこに位置しそうか見当を付けます。
  • 一次情報で自社の数字と中身を数え、見当が合っているか確かめてください。
  • 社長への説明では、二次情報を背景に1〜2点、一次情報を本論に置くと筋が通ります。

逆に一次情報だけで判断すると、自社の特殊事情を業界の常識だと思い込む危険があります。当社のフォームは営業目的の送信がほとんどでしたが、それを「問い合わせフォームには営業しか来ない」と一般化するのは誤りです。

二次情報は地図、一次情報は現地の写真だと考えると整理しやすくなります。地図で行き先の見当を付け、現地で自分の目で確かめる、という順番で使ってください。

一次情報の見分け方3つの問いと、一次情報でも疑うべきケース

目の前の情報が一次情報かどうかは、ステップ①でも使った3つの問いで見分けられます。「誰が」は発信者が当事者か第三者か、「いつ」は公開日・取得日・更新履歴があるか、「どうやって」は取得方法・母数・条件が書いてあるか、を確かめる問いです。

たとえば「生成AIを使う人が急増している」という記述を見たら、誰が(総務省)・いつ(2024年度調査)・どうやって(一般向けのアンケート)と原典まで戻れるかを確かめます。戻れれば二次情報として使え、戻れなければ孫引きです。

3つのうち1つでも答えられない情報は、根拠として使う前に原典を探すか、使わないと決めてください。

一次情報であっても、次の4つの場合は割り引いて読む必要があります。

  • 母数が小さい場合は、偶然のばらつきが結論に入ります。筆者のスマホ到達11セッションがその例です。
  • 企業のPR資料や成功事例は、都合の良い期間や指標だけが切り取られやすい傾向があります。
  • 公表後に修正・訂正・撤回が入った統計や論文は、最新版を確かめる必要があります。
  • 計測設定の漏れや取得方法の変更が残っているデータは、前後を単純に比べられません。

一次情報は「疑わなくてよい情報」ではなく、「疑うための材料が揃っている情報」です。材料が揃っているからこそ、読み手は自分の頭で検証できます。

一次情報の集め方を難易度順に|棚卸し・実測・体験・取材

一次情報の集め方を、費用と手間が少ない順に4段階で並べます。多くの会社はいきなりアンケートや取材を考えて止まってしまいますが、筆者の実例①〜③は最初の3段階だけで作れました。

◆一次情報の集め方(難易度順)

段階方法費用
1社内データの棚卸し無料実績・受注記録・受付簿・作業記録を在庫表にする
2手元の道具での実測無料GA4で到達→完了を数える、検索結果で自社の引用を抽出する
3体験・観察無料〜低額自分で使ってみる、HTMLを開いて確かめる、現場を見る
4アンケート・取材時間と協力者が必要顧客への聞き取り、社内アンケート

体験や観察を一次情報にするコツは、「こうだった」という感想を、条件と期間を付けた「こうなった」という事実に書き換える点にあります。

たとえば「問い合わせが少ない」は感想です。「2026年8月5日〜9月22日の49日間で、到達194セッションのうち送信完了が51、商談につながった問い合わせが0件だった」と書けば、条件と結果が揃った一次情報になります。

段階4のアンケートや取材は最も価値が高い一方、設問設計・母数の確保・相手の許可が必要で、社内では完結しません。段階1〜3で「何を聞くべきか」が見えてから行うと、質問が絞れて回答者の負担も軽くなります。

SEO・AI検索で重要な理由|Googleが実体験を重視

一次情報が検索対策で重要になった理由は、Googleが「実体験に基づくか」を評価の観点として公式に示しているからです。

Google検索セントラルの「ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」(2026年9月23日閲覧)には、独自の調査や実体験を示しているかを問う自己評価の項目が載っています。

Google検索セントラル「ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」のページ

出典:ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成(Google検索セントラル)(スクリーンショットは筆者取得・2026年9月23日)

同じくGoogleは2022年12月、品質評価の観点E-A-T(専門性・権威性・信頼性)にExperience(経験)を加えてE-E-A-Tにしたと、Google検索セントラルブログで発表しました。

「自分でやって得た情報か」が評価の軸として明文化されたのが、2022年以降の変化です。

AI検索についてもGoogleは、「AI機能とウェブサイト」で、AIによる概要に載るための特別な最適化は不要で、従来どおり有用な内容が基本だと説明しています。実例①のとおり、当社で引用された14問はいずれも定義文と条件つきの数字を持つ記事でした。

AIを使う人の増え方も見逃せません。

総務省の「令和7年版 情報通信白書」個人におけるAI利用の現状(2024年度調査・筆者が2026年9月23日に確認)によると、生成AIを使ったことがある個人の割合は26.7%で、前年度の9.1%から約3倍に増えました。

総務省「令和7年版 情報通信白書」個人におけるAI利用の現状のページ。生成AIの利用経験が26.7%(2024年度)であることを示す図表

出典:令和7年版 情報通信白書「個人におけるAI利用の現状」(総務省)(スクリーンショットは筆者取得・2026年9月23日)

LLMO(大規模言語モデル最適化。AI検索に引用されやすくする対策)と呼ばれる取り組みも、結局は「AIが引用できる一次情報を持っているか」に行き着きます。孫引きの数字を並べた記事はAIにとっても引用する理由が無く、読者の会社の実測値は、規模が小さくても世界に1つしかない引用候補です。

一次情報を数字で発信する内製化なら、株式会社LAYUP

株式会社LAYUPは、岡山市でBtoB企業向けにAI・デジタルマーケティングの支援を行っている会社です。ミッションは「ITを通じて企業のできないをできるに」と定め、現在はAIエージェント構築研修(全6回・対面中心・岡山)、SEO・LLMO内製化支援、Webサイト制作の3つを提供しています。

SEO・LLMO内製化支援は、記事制作を代行する形ではなく、社内の担当者が自社の一次情報を見つけ、数字で発信できるようになるための研修型の支援です。在庫表の作り方から、GA4・Search Consoleの見方、数字を添えた記事や報告資料の書き方までを、担当者が自分の手で回せる形でお伝えします。

筆者自身が非エンジニアの経営者で、本記事の実例3つも無料の道具と自分の手で作ったため、同じ立場の担当者に手順ごとお渡しできるのが強みです。

公開実績としては、SEOと入力フォームの改善の組み合わせでコンバージョン率(問い合わせなどの成果に至った割合)が150%向上した印刷業の事例(有限会社コトブキ印刷様)があります。詳細な施策内容は非公開のため、ここでは実績の一行として触れるにとどめます。

自社の一次情報を数字で語れる担当者を社内に育てたい方、記事や報告資料の根拠を自分たちの手で持ちたい方は、SEO・LLMO内製化支援のページからご相談ください。現状の在庫表と計測の状態を伺うところから始めます。

一次情報でよくある3つの質問

最後に、研修や打ち合わせの場で筆者がよく受ける一次情報に関する質問を3つ取り上げます。生成AIの回答は使えるのか、個人の体験談で足りるのか、出してはいけない一次情報は何か、の3つで、いずれも生成AIが身近になった今だからこそ増えている質問です。

3つに共通する答えは、「誰が・いつ・どうやって得たか」を自分で示せるか、そして示してよい情報かを先に確かめる、という一点に戻ります。

便利な道具や身近な体験ほど、この確認を飛ばしやすくなります。社内で記事や報告資料を書く担当者が判断に迷いやすい順に並べたため、社長への説明資料に載せる前に一度は目を通してください。

質問①生成AIの回答やAIが示す出典は一次情報になりますか

なりません。生成AIの回答は、学習した大量の二次・三次情報を組み合わせて作った要約であり、AI自身が何かを体験・観察・計測したわけではないからです。

AIが示した出典も、そのまま信用してはいけません。実在しない資料名や、原典と異なる数字をもっともらしく示す場合があり、この現象はハルシネーション(もっともらしい作り話)と呼ばれます。出典は必ず自分で開き、書かれている内容と数字を自分の目で確かめてください。

生成AIは「一次情報を探す入口」としては優秀ですが、「一次情報そのもの」にはなりません。

Googleも2023年2月公開の検索とAI生成コンテンツに関する公式見解で、評価するのは制作方法ではなく、E-E-A-Tを備えた有用なコンテンツかどうかだと説明しています。

筆者の実務では、AIには「この数字の原典はどこか」「この主張に反する資料はあるか」を探させ、見つかった資料は必ず自分で開いて確認しています。この線引きを社内で共有しておくと、AIが作った数字が資料に紛れ込む事故を防げるはずです。

質問②個人の体験談だけでも一次情報として十分ですか

一次情報としては成立しますが、「十分か」は用途によります。体験談は「その人が・そのとき・その条件で」得た事実であり、サンプル数1の一次情報です。自分の会社の判断材料としては十分でも、業界全体の傾向として語るには足りません。

体験談を強くする方法は2つあります。1つは条件と期間を書き添える方法で、「問い合わせが少ない」ではなく「49日間で到達194セッションのうち送信完了が51だった」のように、他人が追試できる形にします。

もう1つは、体験談を「仮説」として置き、公的統計や自社の継続的な計測で裏づけていく方法です。

筆者の「完了51件のうち本物は0件」も、49日間・1社の体験談にすぎません。しかし、月1回同じ条件で数え続ければ、体験談は時系列の一次情報に育ちます。

体験談の強みは、数字だけでは伝わらない「なぜそうなったか」を語れる点です。数字と体験談を1組にして書くと、読者にも検索エンジンにも、当事者が書いた記事だと伝わります。

質問③発信してはいけない一次情報はありますか

あります。自社が持っているからといって、何でも公開してよいわけではありません。代表的なものは次の4つです。

  • 問い合わせをくれた方の氏名・会社名・メールアドレス・本文などの個人情報は、本人の同意なく公開できません。
  • 掲載許可を得ていない他社名や顧客のデータは、業種レベルの匿名表記と倍率・割合に丸めて書きます。
  • 契約で秘密保持を約束した情報は、社内の判断材料にとどめてください。
  • 生成AIに作らせた架空の実測値を「自社調べ」と書く行為は、孫引きよりはるかに悪質な捏造です。

自社の数字は自由に出せますが、他人の情報は「出してよいと確認できたもの」だけを出す、という線引きを守ってください。

筆者も本記事では、自社の数字は実数のまま書き、問い合わせの送信者が特定できる情報は載せず、他社に関わる部分は公開許可のある一行の実績にとどめています。個人情報の扱いは個人情報保護委員会の案内に沿って判断します。

迷ったときの基準は「その情報の持ち主は誰か」です。在庫表の「公開可否」の列は、まさにこの判断を先に済ませておくための欄です。発信できない一次情報でも社内の判断材料としては使えるため、公開する数字と社内に留める数字を分けておいてください。

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まとめ:一次情報は3つの問いで見分け、中身を確かめてから出す

一次情報とは、当事者が直接の体験・観察・調査・計測によって最初に得た情報や、その当事者が最初に公開した原典を指します。見分け方は「誰が最初に・いつ・どうやって得たか」の3つの問いで、一次・二次・三次という階層は原典からの距離であって、正しさの保証ではありません。

筆者の会社でも、在庫表を作るまでは「自社に一次情報は無い」と思い込み、「送信完了51件」を確かめるまでは「問い合わせが来ている」と思い込んでいました。自社の一次情報は無料で作れますが、中身・母数・取得方法を確かめてから出して初めて、読者にも社長にも通じる根拠になります。

本記事で示した5つのステップを再掲します。道具はいずれも無料で足り、有料ツールは要りません。

  • ステップ①手元の情報を「誰が最初に・いつ・どうやって得たか」で一次情報・二次情報・孫引きに仕分ける
  • ステップ②5つの引き出し(実績・稼働データ・問い合わせの中身・アクセス解析・自分の目で確かめた事実)から棚卸しして在庫表にする
  • ステップ③何を数えるかと定義を先に決めてから、GA4や受付簿など手元の道具で数える
  • ステップ④完了数の中身・母数・取得方法・計測漏れの4点で自分の数字を疑う
  • ステップ⑤取得期間・取得方法・母数と出典(機関名・URL・公開日・確認日)を添えて書き、月1回見直す

本文で触れなかった補足を2点添えます。1点目は、サイトや計測の設定を「いつ・何を変えたか」を日付つきで残す習慣です。筆者はリニューアル(2026年6月30日)と計測開始(2026年8月5日)の日付が残っていたため、前後比較の起点を説明できました。

2点目は、在庫表を社内で共有する順番です。まず担当者1人で作り、公開可否を経営者と確認してから、記事や営業資料を書く人全員が同じ表を見る形にすると、数字の食い違いが起きません。

自社にどんな一次情報が眠っているか、何から数えればよいかを一緒に整理したい方は、SEO・LLMO内製化支援のご相談からお問い合わせください。在庫表の作り方と、中身まで数える計測の作り方も含めてお手伝いします。

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