ECサイトを運営する上で、ユーザーの離脱率は悩みの種です。
高い離脱率はサイトに魅力がない、欲しい情報がない、サイトが使いづらいなどの改善策が隠れている場合が多く、無視できるものではありません。
ここでは、そもそも離脱率とは?といった基本知識から、離脱率の計算方法や確認の仕方、離脱率の原因と具体的な対応策、改善のポイントなどを紹介します。⇒レイアップに相談する(無料)
ECサイトの「離脱率」とは?
WebマーケティングおよびECサイトの運営における「離脱」とは、ユーザーがサイト内で次のページへ移動せず、閲覧を中断してしまう行動を指します。
離脱率は、ユーザーがどのページでサイトを離れたかを示す重要な指標となり、高い離脱率はコンテンツや商品に魅力がない、もしくはユーザーが求める情報が不足しているなど、サイト内に何らかの問題が存在する可能性を示唆しています。
これは、商品の売上にも影響を与え、最終的な購入の機会を逃してしまいます。
したがって、サイト運営者は離脱率の高いページを特定し、ユーザーが途中で離脱しないような工夫と改善を行うことが極めて重要となります。
離脱率の計算方法
ECサイト運営における離脱率は、「ECサイト全体の離脱率」と「特定ページの離脱率」の2つがあります。
まず、「ECサイト全体の離脱率」は、サイト全体の離脱数をサイト全体のページビュー(PV)数で割り、その結果を100倍したものと定義されます。
通常はサイトの訪問数と同じです。具体的な例として、サイト全体の訪問数が100、PV数が120の場合、離脱率は 83.3%となります。
【計算式】 100(サイト全体の訪問数=サイト全体の離脱数)÷120(サイト全体のPV数)×100=83.3%(ECサイト全体の離脱率) |
一方「特定ページの離脱率」は、そのページの離脱数をページのPV数で割り、100を掛けたものです。
例えば、特定ページのPV数が100で、そこから60人が離脱した場合、60%のユーザーがそのページを最後にサイトを離れていることを意味します。
【計算式】 60(特定ページの離脱数)÷100(特定ページのPV数)×100=60%(特定ページの離脱率) |
これらの指標は、ユーザーがサイトやページをどれだけ離れたかの傾向を把握できます。サイト運営者にとって、サイトの改善点を洗い出し、より魅力的なコンテンツ提供やユーザビリティの向上につなげる手がかりとなるのです。
特に、購買意欲を高めるためのコンテンツ提供はユーザーの離脱を防ぎ、商機を増やす上で不可欠です。
ECサイトにおける離脱率の目安・平均
離脱率の把握と改善は、ECサイト運営において欠かせない要素です。ECサイトを改善するための分析には、サイト及び個別ページの特性と、目的に対する洞察が必要となります。
離脱率は大きく分けて「サイト全体の離脱率」と「特定ページの離脱率」に分けて評価され、その計算は各々「サイト全体の訪問数÷PV数」や「特定ページの離脱数÷そのページのPV数」によって求められます。
一方で、一般的な離脱率の「基準」は存在しません。理由としては、サイトやページごとにコンテンツやユーザー行動パターンが異なるため、公平な平均値の設定が困難になります。
そのため、他サイトとの離脱率を比較するアプローチは推奨されず、自サイト内での離脱率の動向と各ページの性質をもとにした相対的な評価が効果的です。
直帰率との違い
直帰率は、ユーザーがサイトの特定のページを訪れた後、他のページを閲覧せずにサイトを出た割合です。
具体的には、ユーザーが最初に開いたページから、どこにも移らずにそのまま閲覧をやめた(離脱した)割合を計算対象とします。ECサイトにおいては平均で20〜45%といわれています。
一方で、離脱率はサイトの複数のページを閲覧したユーザーも含めて、ユーザーが最後にどのページから離れたかを表す指標です。
直帰したユーザーは、1ページだけを見てすぐに離脱してしまっているため、あなたのページに対する興味が薄いと考えられます。
反対に、離脱したユーザーはそれなりにページを回遊して閲覧しているため、売上につながるのは離脱したユーザーの方であり、ECサイトでは離脱率を気にして改善を行ってください。
ECサイトの離脱率を確認する方法
Googleアナリティクスを使用して、サイト全体および特定ページの離脱率を確認できます。
自サイトにGoogleアナリティクスが導入されていれば、以下の手順でチェックすることが可能です。
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一方、特定ページの離脱率も確認できます。「行動」から「サイトコンテンツ」へ移り、「すべてのページ」を選択することで期間を指定したページごとのアナリティクスが表示されます。
データは「ページビュー数、ページ別訪問数、平均ページ滞在時間、直帰率、離脱率、ページの価値」と順に並び、そこからページごとの離脱率を視認することが可能です。
ECサイトの離脱率が高くなる10の原因と改善策
ECサイトの離脱率が高くなる原因と改善策には、以下の10点が挙げられます。
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ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.ユーザーの期待に添う情報がない
ユーザーがWebサイトを直帰する主な理由の一つは、訪れたページに求めている情報が得られない場合や、タイトルと内容の不一致により期待が裏切られた場合です。
具体的な要因として、ユーザーが必要とする情報が不足していたり、ユーザーの興味を引くコンテンツが提供されていなかったりするケースが考えられます。こうした情報不足は、ユーザーのニーズや興味の分析が不十分なままページが作成されているケースで顕著に現れます。
改善のアプローチとしては、まずはページの滞在時間を分析してください。とくに、商品ページなどで滞在時間が異常に短いものがあれば、そこにはユーザーが求める情報が十分に掲載されていない可能性が高いのです。
2.入力フォームの項目が多い
ユーザーのカート離脱やフォームの途中放棄は、多くの入力項目やその操作性に起因しています。
複数項目の入力やエラーが発生した際の対応が分かりづらいと、ユーザーはページを離れる可能性が高まります。
具体的な改善策としては、以下の通りです。
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これらの改善策を融合させ、ユーザーがストレスなく、分かりやすいフォーム入力を体験できるWebサイトやECサイトを構築することで、カート離脱を減らし、コンバージョン率の向上が期待できます。
3.決済方法の選択肢が少ない
ユーザーがECサイトから離脱してしまう主な要因として、希望の決済方法が提供されていない場合が挙げられます。
SBペイメントサービスの調査(2020年12月)によると、希望の決済手段が用意されていないECサイトにおいて、ユーザーが商品購入を断念し、サイトを離れる「カゴ落ち」現象が63%にも上っているとのデータがあるのです。
改善策として、経済産業省の調査(平成30年度)で挙げられている6種類の主要な決済方法を導入することが効果的とされています。
最近ではQRコードやID、キャリア決済など、新しい形の決済方法も急速に普及しています。これらを取り入れることで、カードを持たないユーザーや安全性、利便性を重視するユーザーからも支持を得ることが可能です。
特に「キャリア決済」はクレジットカードを持たないユーザーにとって利便的な選択肢となり、「ID決済」はその安全性やポイントサービス、そして「QRコード決済」は大型キャンペーンによる魅力がユーザーにアピールポイントとなります。
4.ページの表示速度が遅い
ページの表示速度が遅いと、ユーザーは直帰率を上げる傾向があります。とくに「多くのクリックを得ながらも直帰率が高い」という課題を抱えるサイトでは、表示速度が一つのカギを握っているかもしれません。
一般的に、ページ表示速度は2秒以内が理想とされ、3秒を超えると約40%のユーザーがサイトを離れるといわれています。
多くのユーザーが「ページがなかなか表示されなくてイライラした」経験を持っています。そのようなユーザー経験は、情報取得の効率化を図ろうとしてあなたのサイトを訪れた意図と相反し、結果として他のサイトへとユーザーを誘導してしまいます。
このような離脱を防ぐため、画像のトリミングやページ容量の抑制など、具体的な改善策が必要となります。
5.モバイルに対する最適化が図れていない
最近のユーザーはスマートフォンやタブレットなど、モバイルでサイトを閲覧する機会が多いものです。
小さな画面で閲覧した際に最適化されていないと、非常に読みづらくなってしまいます。
対策としては、画像や写真のサイズをモバイル端末に最適化したり、文章の適切な改行により小さな画面でも読み易くしたりします。
そして、アイコンやボタンが押しやすいかなどの使いやすさを重点的に改善してください。画面を拡大して閲覧する手間はユーザーのストレスとなります。
それを避けるためのモバイル対策を実施することで、とくにECサイトなどでユーザーの直帰率を低下させ、使い勝手が良くなる効果が期待できます。
6.訴求が強過ぎる
訴求が強すぎるコンテンツや広告の多さは、読者を引きつけるどころか逆効果となり、ユーザーに「しつこい」と感じさせ、離脱率を上昇させてしまいます。
実際に、小売店で商品をしつこく勧められ、買う気を失った経験がある人も多いはずです。
Webサイトにおいても、1ページに何行にもわたり広告が張り巡らされていると、それだけでしつこさが強い印象を残し、訴求自体が浸透しづらくなってしまいます。
一方で、LP(ランディングページ)においては、1ページに情報が凝縮されているものの、ページが長すぎて多くのスクロールを要求すると、ユーザーは重要な情報に到達する前にページを離れる可能性があります。
この問題を解決する方法として、初めに内容がわかる見出しを表示し、ユーザーが知りたいテーマを選ばせるなど、求める情報に迅速かつ快適に到達できる導線を整備する対策が効果的です。
7.そもそもページが見づらい
ユーザーのニーズを的確に把握し、それに見合った情報を提供しているにもかかわらず離脱率が高いページが存在する場合、サイトの構成やデザインに課題がある可能性が考えられます。
時間に追われる現代人は、情報が一目で掴め、ストレスなく閲覧可能なサイトを強く求めています。
とくに、急増しているスマートフォンユーザーを考慮に入れ、文字の大きさや画面拡大の必要性を排除したモバイルフレンドリーなデザインが不可欠です。
また、PCユーザーにおいても、「LP(ランディングページ)が直感的でなく、必要な情報が即座に把握しにくい」といった要因が離脱の主な原因となります。
改善策としては、コンバージョンに直結する要素、例えば「商品購入につながるリンクボタンを大きくし目立たせる」など、ユーザーが目的のアクションを迅速に実行できるようなレイアウトの見直しを行うことが効果的です。
8.送料が高すぎる
商品をカートに入れ、注文確認画面で商品代金と送料の支払い総額が明示される際、予想以上の金額であるとユーザーは離脱を選びがちです。
ユーザーは購入を検討する段階で、商品自体の価格はもちろん、送料や手数料も含めてできるだけ安く、お得にアイテムを手に入れたいと望んでいます。
改善策としては、事前にユーザーが送料や手数料について理解しやすいように、情報をわかりやすく示してください。
可能な限り送料を無料にしたり、一定金額以上の購入で送料が無料になるキャンペーンを実施したりすると効果的です。
9.良い内容のクチコミが少ない
ユーザーが商品購入前に行うクチコミの調査は、購入意欲の成熟度を高める重要なプロセスとなります。
実際、63%の消費者が購入を決定する前に、クチコミサイトや商品のレビュー、感想をSNSで検索しているというデータが存在するのです。
もし購入ページにクチコミが掲載されていない場合、ユーザーが外部のクチコミサイトやSNSへ調査を移し、サイト離脱を起こす可能性も秘めています。
改善策としては、信頼性のあるクチコミを購入ページ自体に掲載し、InstagramなどのSNS上でユーザーが共有しているUGC(ユーザー生成コンテンツ)をECサイトに直接組み込む方法が挙げられます。
これによって、サイトを離れることなく、商品の評判を確認できる利便性が提供され、離脱率の低減と滞在時間の延長が見込まれるのです。
10.会員登録が必須になっている
購入意欲を持ったユーザーでも、会員登録の必須化・煩雑さが引き起こす入力の手間は、離脱原因の一つです。
事実、Baymard Institute社の調査によれば、ユーザーの約24%が会員登録の手間によって離脱しており、これはカゴ落ちの主な要因の一つとされています。
一方、離脱を防ぐ工夫が新規会員登録とそれに続く購入率の向上に寄与した事例も存在します。
とくに会員登録までの導線の位置変更が、既存会員のログインにもポジティブな影響を与え、購入ユーザーを115%も増加させました。
改善策としては、ゲスト購入オプションやAmazon Payの導入など、会員登録をスキップして購入できる手段を提供することで、離脱を未然に防ぐことが期待できます。
ECサイトの離脱率を改善する際のポイントは4つ
ECサイトの離脱率を改善する際のポイントには、以下の4つが挙げられます。
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ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.リピート率を定期的に確認する
キャンペーンやセールで一時的な集客は可能ですが、その後のリピート率の低下はECサイト運営者にとって頭を悩ませる課題となります。
リピーターはECサイトの持続的な運営に不可欠な存在です。おおよそ2割のリピーターが売上の8割を生み出すとされています。
新規顧客の獲得は広告やキャンペーンなどコストがかかる一方で、リピーターは既に商品やサイトの利用法を理解しているため、追加のコストは抑えられます。
「1.5の法則」によれば、新規顧客の獲得コストは既存顧客の追加購入コストの約5倍です。したがって、一度得た顧客をいかにしてリピーターに育てるかが売上の鍵となります。
2.カゴ落ち率の改善も実施する
カゴ落ち対策として、積極的かつ実効性のある11のポイントを紹介します。
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これらの対策を適切に実装することで、ECサイトでのカゴ落ちを大幅に減少させ、顧客満足度を高めることが期待できます。
3.顧客の意見を蓄積・分析する
ECサイトの離脱率を改善するために顧客の意見を蓄積・分析する方法には、いくつかのアプローチがあります。
これらの方法を利用して顧客の声をきちんとキャッチし、サイトの改善点を見つけ出すことが重要です。
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顧客のフィードバックと結びついたデータは、サイトのUI/UX改善、商品ラインナップの最適化、コンテンツ戦略のブラッシュアップなどに活かすことができ、最終的には離脱率の低下に貢献します。
4.興味の引き出し方を使い分ける
ECサイトにおいて離脱率の改善とユーザーエンゲージメントの向上を目指す際、さまざまな興味の引き出し方を使い分けることが重要です。
ユーザーがサイト上でどのような行動を取るかは、商品やコンテンツ、サイトデザイン、UI/UXなどに影響されます。
以下、異なる手法を使い分けて興味を引き出すアプローチをいくつか紹介します。
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異なる顧客セグメントや購買フェーズに応じてこれらのテクニックを適切に使い分け、顧客がサイト上で取るアクションに適した刺激を提供することが、離脱率改善に繋がります。
ECサイトの離脱率でよくある3つの質問
ECサイトの離脱率でよくある質問には、以下の3つが挙げられます。
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ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
質問1.離脱率で注意するページとは?
離脱率がコンバージョンに直結するページ(申し込みページ、カートページなど)で高い場合、それはECサイト運営にとって大きな警鐘となります。
一概に高い離脱率が悪であるとは言えませんが、ユーザーが購入を検討する重要なページで離脱してしまう背後には、「サイトや商品への不安」や「使いづらい入力フォーム」など、改善ポイントが隠れている可能性があるのです。
ユーザーがECサイトを訪れる目的は多岐にわたり、商品の購入だけでなく、単なる商品チェックの場合もあります。それぞれのページとその目的を理解し、離脱率の背後にある問題を具体的に把握することがカギです。
興味・関心を持ってページに訪れたユーザーが、情報不足や動線の不明瞭さで離脱してしまうのは避けたい事態です。
それぞれのユーザーが求めている情報が手に入り、次のアクションへスムーズに移れるようなサイト作りを目指し、具体的なコンバージョン(商品購入、資料請求など)に向けたユーザーフローを最適化してください。
質問2.離脱率の評価方法は?
離脱率の分析はECサイトにおける重要な改善ポイントを示していますが、一概に「離脱率が低いから良い」とは言えません。各ページの役割と目的を正確に理解することが肝要です。
例えば、Baymard Institute社による調査では、カートに商品を追加したものの購入を完了せず離脱する「カゴ落ち」の率が69.57%と高いことが示されており、これを一つの参考値とするのは有益です。
一方で、直帰率の一般的な範囲は50〜90%であり、特にコンバージョンに直接影響をもたらす「申し込みページ」などの離脱率は、理論上、それよりも低い値が望ましいとされています。
しかし、全てのページが低い離脱率を目指すわけではなく、「Thanksページ」のように本来離脱が想定されるページもあります。つまり、離脱率を適切に評価し改善策を考える際には、ページの目的とユーザーの期待をマッチさせる視点が必要であり、そのページで想定されるユーザー行動と実際のデータが大きく乖離していないかを中心に分析を行うべきです。
質問3.ECサイトの離脱を防ぐWeb接客ツールとは?
「Web接客ツール」は、オンラインユーザーの行動をリアルタイムで分析し、パーソナライズされた接客を可能にするツールです。
主に「ポップアップ型」と「チャット型」の2種類があり、前者はユーザー行動に基づいて自動的にポップアップを表示し、後者はリアルタイムでユーザーと対話ができるものです。
このツールを選ぶ際は、ECサイトの課題を解決できる機能が備わっているか、コスト、使いやすさ、そしてサポート体制を重視するポイントとなります。適切に利用することで、コンバージョン率の向上に寄与します。
まとめ
ここまで、ECサイトにおける離脱率の確認・計算方法や、離脱率の原因と改善策について紹介しました。
ECサイトにおける離脱率の高さは、購入率の高さや購入継続率の悪さにも繋がり、ECサイト運営者にはつきものの悩みです。
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